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プロ野球

【動画あり】 日本ハムの新外国人ニック・マルティネスを分析!高速な変化球が最大の武器…!?



目次
マルティネスはどんな球種を持っているのか
マルティネスのボールはどれくらい曲がるのか
マルティネスはどんな成績を残すのか
レンジャーズ時代のマルティネス

新年早々、日本ハムからビッグニュースが舞い込んできた。
昨シーズンにメジャーリーグで111イニングも投球したバリバリのメジャーリーガーを獲得したのだ。
「MLB複数球団からのメジャー契約のオファーを断り、ファイターズ入りを決断してくれたことに感謝すると同時に、駐米スカウト陣の尽力を讃えます」。27歳にしてメジャー通算17勝を挙げている右腕に、日本ハム栗山監督も大きな期待を寄せる。

Baseball Geeksでは、今回から2018年に加入した新外国人投手のトラックマンデータを一人ずつ分析していく。
第1弾は、日本ハムの新外国人ニック・マルティネスのデータを紹介する。

マルティネスはどんな球種を持っているのか

高速変化球が特徴

まずは、マルティネスの球種毎の投球割合と球速を紹介する。
球種は5球種で、4シーム(日本でいうストレート。以下4シームで統一)を中心に全ての球種をバランスよく投球している【表1】。
多くの球種を組み合わせることができ、先発投手としての適性があるといえる。

表1 球種毎の球速と投球割合
球種平均球速度
(km/h)
平均球速度
(%)
投球割合
(%)
4シーム149
(150)
100
(100)
38
2シーム148
(148)
100
(99)
18
カットボール144
(142)
96
(95)
13
チェンジアップ138
(135)
92
(90)
12
カーブ128
(126)
86
(84)
19

カッコ内はメジャーリーグ平均

球速をみると、マルティネスの4シームは、先発投手ながらメジャーリーグ平均(表中カッコ内)並みの149km/hであった。また、変化球は全球種でメジャーリーグ平均を超える球速だ。速球に加え、日本では少ない高速な変化球を持つため、打ち崩すのは容易ではないだろう。

マルティネスのボールはどれくらい曲がるのか

特徴的な縦カーブ

次に、マルティネスのボールの変化に注目したい。
トラックマンデータで注目を集めているのが、回転数(スピンレート)である。しかし実は回転数だけではボールの質を評価出来ない。詳細はリンク先で紹介するため割愛するが、トラックマンではボールの回転軸の方向を測定できないのが原因の一つだ。
参考:【トラックマンデータ】注目の新指標!SPVの効果とその弱点

そこでBaseball Geeksでは、ボール変化量を中心に球質を分析する。ボール変化量の定義はやや複雑だが、簡単にまとめると、「回転の影響を受けずに到達した地点からどれくらい変化したか」を示したものである。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴

では実際に、マルティネスのボールをみていこう【表2】。
マルティネスのボールは全球種でメジャーリーグ平均よりもややホップ成分の大きな球質である。ホップ成分が大きいと打者の予測よりも上にボールが到達することとなり、打者は空振ったり、フライに打ち取られたりする。
このように、平均と比較しながら球質をみると、ボールの特徴が浮き彫りになってくる。

表2 球種毎の回転数と変化量
球種回転数
(rpm)
縦変化
(cm)
横変化
(cm)
4シーム2392
(2255)
46
(43)
27
(22)
2シーム2301
(2151)
36
(28)
41
(37)
カットボール2441
(2333)
32
(24)
9
(-4)
チェンジアップ1765
(1770)
27
(23)
41
(33)
カーブ2559
(2489)
-19
(-19)
0
(-22)

カッコ内はメジャーリーグ平均。

マルティネスの大きな武器は、変化球だ。
2シーム、カットボールの両球種は、ホップ成分が大きく、4シームに近いことがわかる。途中まで4シームに近く、打者の手元に来て小さく分かれるような軌道で、ゴロを打たせるボールとなりそうだ。

また、カーブは横に全く変化せず、真縦に変化するボールである。軌道としてはオリックスのディクソンのようなイメージが近いボールだ。更にマルティネスはリリース高が188cmと非常に高く、高い位置から投げ下ろすようなフォームであるため、打者はよりカーブの落差を感じるだろう。日本では珍しい速いカーブであることからも、決め球として非常に有効なボールとなりそうだ。

課題を上げるとすれば4シームであろうか。マルティネスが2017年に投球した全投球の変化量をみてみる【図1】。
ホップ成分の大きな球質であるマルティネスだが、4シームはシュート成分が大きく、ホップ成分は平均に近い。メジャーリーグでは4シームで空振りが奪いきれず、負けが先行してしまった(2017年3勝8敗)が、この球質が原因の一つであろう。

図1 ニック・マルティネス球種毎のボール変化量

ここまで再三述べてきたように、変化球は特徴的なボールが多い。4シームのホップ成分がより大きくなれば(図中赤)、メジャーリーグでも先発として活躍できるポテンシャルを有しているといえる。

マルティネスはどんな成績を残すのか

ここまでマルティネスの投球を分析してきたが、空振りを奪う能力を除けば非常にハイレベルな投手だ。

4シームの球速はメジャーリーグでは平均程度であったが、NPBの先発投手としてはトップクラスだ。4シームがより威力を発揮すれば、高速な変化球を武器に凡打を量産することは容易に想像できる。今シーズンメジャーリーグに復帰する元巨人マイコラスのような大活躍をみせてもおかしくないだろう。

【動画】エース大谷が移籍した日本ハムがマルティネスにかける期待は大きい

もちろん今回のデータはすべてメジャーリーグでのものだ。ボールやマウンドといったメジャーと異なる環境へ順応できるかどうかが活躍のカギを握るだろう。

マルティネスの活躍は、トラッキングデータを活用した新外国人獲得の今後のモデルケースとなる。
日本一奪還を目指す日本ハムに、また新たな見どころが増えた。

ニック・マルティネスのプロフィール

・1990年8月5日生まれ(27歳)
・右投左打 背番号27
・テキサスレンジャーズ(2014-2017)、日本ハム(2018-)
・2017年メジャー成績3勝8敗(メジャー通算成績17勝30敗)

※変化量は球場毎の誤差を独自に補正

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Baseball Geeks編集部