【オリンピック野球:傾向と対策】ドミニカ共和国代表ダリオ・アルバレス!ゾーンの幅を上手く使う投球!
ついに、待ちに待ったオリンピック野球競技が開幕した。日本の初戦の相手はドミニカ共和国代表であった。前回に続き、メジャー経験のあるドミニカ共和国代表の投手を紹介する。今回は、ダリオ・アルバレスをメジャー在籍時(2017年)のトラッキングデータをもとに分析していく。
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アルバレスは、2014年から2017年まで4年間メジャーでプレーをし、中継ぎとして通算56試合に登板している。現在は、メキシカン・リーグに所属している。
スライダーと4シームの2ピッチ!
まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
アルバレスの持ち球は、4シームとスライダーの2球種のみでどちらの球種もメジャー平均を下回る球速となっている。
投球割合をみると、スライダーが60%を超えており、アルバレスの投球の軸といえるだろう。
※2017年のトラッキングデータを使用。カッコ内は、2017年のメジャー平均
垂れる4シームと横滑り型スライダー
次に、ボール変化量をみていく(図1)。
4シームはいわゆる「垂れる」ボールだ。ホップ成分がメジャー平均よりも小さくなっており、他の投手の4シームと比べて沈むように感じるだろう。この「垂れる」4シームは、一般的にゴロに打ち取りやすいとされている。
スライダーはメジャー平均よりもスライド成分が大きく、「大きく横滑り」するようなボールだ。また、縦変化に大きくバラツキがあり、横に滑りながらも落差の大きな変化もすることがあるようだ。
ストライクゾーンの幅を使った投球!
次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく(図2・3)。
左打者に対しては、アウトコース低めのボールゾーンにスライダーを多く投球している。一般的に、アウトコース低めのボールゾーンへのスライダーは空振りを奪いやすいとされている。左打者は特に注意が必要となるだろう。
右打者に対しては、インコース・アウトコースを上手く使えているようだ。いわゆる「バックフットスライダー」と呼ばれるスライダーをインコースの膝元から下に投げることや、スライダーをアウトコースへ外巻きに使っていることから、ストライクゾーンの幅を上手く使う投球に警戒したい。
最後に、リスク管理をみていく(図4)。
右打者に対するリスク管理をみると、ゴロ割合がメジャー平均を大きく上回っている。低めに投球された「垂れる」速球とスライダーを武器に、ゴロを重ねているのだろう。
一方、アルバレスはコントロールに難があるようだ。左打者に対する四死球割合がメジャー平均を大きく上回っている。4シームとスライダーの2球種のみの投球であるため、ゾーン管理や目つけをすることがアルバレス攻略のカギになりそうだ。
ダリオ・アルバレスをどのように攻略すればよいのか?
今回は、ドミニカ共和国代表のダリオ・アルバレスを紹介した。アルバレスは、レンジャースなどでリリーフ左腕として4年間メジャーでプレーした選手だ。スライダーと4シームの2ピッチ投手であるため、上手くゾーンの管理をすることが攻略につながりそうだ。
- ダリオ・アルバレスの対策
【左打者】
・アウトコース低めへのスライダー
・四死球の割合が高い
【右打者】
・ストライクゾーンの幅を使った投球をしてくるため、徹底したゾーンの管理
- ダリオ・アルバレスのプロフィール
Dario Álvarez
1989年1月17日生まれ
メッツ(2014-2015)ーブレーブス(2016)ーレンジャース(2016-2017)
メジャー通算成績 56試合 6勝1敗 防御率5.06
ブレーブス時代のリリーフシーン
Baseball Geeks編集部