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プロ野球

【オリンピック野球:番外編】メキシコ代表ヘクター・ベラスケス!日本でもう一度見たかったチェンジアップ!



目次
投球の軸となる高速チェンジアップ
変化量の異なるチェンジアップ・スライダーを投げ分ける
左打者に攻略のカギあり?
ヘクター・ベラスケスをどのように攻略すればよいのか?

他競技でメダルラッシュの中、野球の予選も開幕し、オープニングラウンド2戦目はメキシコとの対戦である。
しかしこのメキシコ代表、新型コロナウィルスの感染で2人の棄権選手が出てしまった。そのうちの一人がヘクター・ベラスケスである。メジャー経験もあった投手だけに、彼の棄権は残念でならない。そこで今回は、ベラスケスをメジャー在籍時(2019年)のトラッキングデータを使って分析し、どんな投手だったのかということだけでも知ってもらいたい。

ベラスケスは2017年からメジャーリーグでプレーしており、メジャーリーグでは通算89試合に登板している。最も活躍したのは2018年で、先発とロングリリーフで47試合に登板し、7勝2敗であった。同年の日米野球ではMLB代表として来日し、侍ジャパンとの対戦経験もある。
参考:【オリンピック野球】メキシコ代表と注目選手を紹介!メジャー通算317本塁打のゴンザレスに注目!

投球の軸となる高速チェンジアップ

まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
基本的に、速球と変化球をバランスよく投球している。投球割合が最も大きいのはチェンジアップである。速球に対する球速比もメジャー平均よりも速く、ベラスケスにとって自信のあるボールなのかもしれない。

表1 各球種の平均球速と投球割合。投球割合が最も大きいのはチェンジアップ

※2019年のトラッキングデータを使用。カッコ内は、2019年のメジャー平均

速球系では2シームが27%、4シームが23%となっており、ほとんど同じ割合で投球しているが、どちらも球速はメジャー平均以下である。また、3球種に比べると割合は低いが、スライダーも投球している。チェンジアップと速球系球種を中心に投球を組み立てていることがわかる。

変化量の異なるチェンジアップ・スライダーを投げ分ける

次にボール変化量をみていく(図1)。
チェンジアップはメジャー平均よりも落差が大きく、4シームの軌道から真下に沈んでいくようなボールとなっている。また、チェンジアップの横の変化量をみると、かなりばらつきがあることがわかる。平均的なチェンジアップよりも「シュートしない」ボールが多く、打者からすると見慣れていないボールであるといえる。
参考:「変化量」からみるボールの特性とは?トラッキングデータを指導に活かそう

図1 各球種の変化量。チェンジアップとスライダーはばらつきが大きい

スライダーもチェンジアップ同様、変化量にかなりのばらつきがある。カットボールのようなボールもあれば、ブーメラン系の変化の大きなボールもある。ツインズ・前田健太投手のように、高速で小さく変化するボールと低速で大きく変化するボールを対戦打者や状況によって投げ分けている可能性が高い。投球割合こそ低いものの、ベラスケスのキーとなる球種かもしれない。
参考:ポストシーズン直前!ツインズ前田健太2020年飛躍の要因を分析!

左打者に攻略のカギあり?

次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく。
左打者に対しては、4シームを高め・チェンジアップを外角低めに投げていることがわかる(図2)。対左打者では極端にこの2球種が多く、狙い球やコースを絞って打席に入るのも効果的かもしれない。

右打者に対してはスライダーを徹底して外角低めに投球していることがわかる。また、チェンジアップを真ん中から内角低めに投球していることもみてとれる。特異なボールを徹底して同じコースに投げ続ける投球スタイルは、打ち崩すのは容易ではないだろう。
参考:サイ・ヤング賞候補デグロムを分析!メジャー屈指の高速スライダーで3年連続の受賞へ!/a>

図2 対左打者時のボール到達位置
図3 対右打者時のボール到達位置

最後に、リスク管理をみてみる(図4)。
右打者に対しては、完全アウト・ゴロ割合ともに高く、失点リスクの低い投球ができているといえる。チェンジアップとスライダーの投げ分けがキーになっているのだろう。
一方、左打者に対してはゴロ割合が低く、外野への打球が多くなっている。前述した投球割合の変化が大きく影響しているのだろう。攻略のカギは左打者が握っているといっても過言ではない。

図4 ベラスケスのリスク管理表

また、左右どちらの打者に対しても四死球割合がメジャー平均よりも大きく、コントロールの良い投手であるとは言えない。しっかりとボールを見極めていくことも重要となりそうだ。

ヘクター・ベラスケスをどのように攻略すればよいのか?

今回は、メキシコ代表のヘクター・ベラスケスを紹介した。
高速かつ落差の大きいチェンジアップは非常に厄介なボールで、注意が必要だっただろう。また、ベラスケスのウィークポイントである左打者が、ベラスケス攻略のカギであったといえるだろう。

ヘクター・ベラスケスの対策

【左打者】
・攻撃のカギは左打者にあり。柳田悠岐(ソフトバンク)・吉田正尚(オリックス)・村上宗隆(ヤクルト)の豪快な一撃に期待(したかった)!
・高めの4シームと外角のチェンジアップの投球が多いので狙い球を絞るのも作戦!
【右打者】
・内角低めのチェンジアップは引っかけてゴロにしない!
・外角のスライダーの見極めが重要!

日米野球のベラスケスのピッチング。当時対戦していた菊池・柳田・山田・甲斐らとの再戦を見られないのは残念だ

ヘクター・ベラスケスのプロフィール

Héctor Velázquez
1988年生まれ11月26日生まれ
レッドソックス(2017-2019)
【メジャー通算成績】
89試合 12勝16敗 防御率3.90

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Baseball Geeks編集部