【パ・リーグ】ポジション別OPSから各球団のウィークポイントを分析!
毎月Baseball Geeksではポジション別のOPSを分析している。今回は少し趣向を変えて、各チームのウィークポイントとなっているポジションの状況を探ってみたい。今年は例年になく混戦模様となっているパ・リーグの6球団を振り返る。
オリックスはすでに二塁手と中堅手をテコ入れ
昨シーズンの最下位から躍進を遂げているオリックスは、一塁手・二塁手・中堅手の3ポジションがOPS的に見るとウィークポイントとなっている(表1)。とくに二塁手と中堅手がリーグ平均を大きく下回っていた。二塁手は開幕から高卒3年目の太田椋を起用していたが、38試合の出場で打率.169(118打数20安打)、OPS.419と低迷し5月17日に登録を抹消された。その後は安達了一がメインで起用されている。その成果がすでに現れており、OPSは5月末時点の.496から.535へと上昇傾向を見せており、他球団との差は縮まりそうだ。一方の中堅手は佐野皓大、中川圭太らを起用するも固定できなかった。しかし5月11日から福田周平を抜擢。5月末時点のOPS.516から.592と改善してきた。オリックスはOPS的にネックとなっていたポジションの選手をすでに入れ替え、手を打っていたことがわかる。
2013年以来8年振りの優勝を目指す楽天は捕手と指名打者に不安を抱えている。捕手は開幕から太田光が起用されながら、序盤は下妻貴寛、現在は足立祐一が週に1試合ほどマスクをかぶってきた。しかしその全員が打撃面では苦戦を強いられている。捕手の中では打撃に優れている田中貴也のスタメン起用は少なく、途中交代で守備につくのがメイン。現時点で石井一久監督は、打撃面を優先しての起用を考えてはいないようだ。指名打者はレギュラーの休養に当てるケースも多く、ほぼ固定されていなかった。しかし、開幕直後に離脱していた銀次が復帰。指名打者として固定されることになれば回復は見込めそうだ。
例年と比べると打撃面で苦戦を強いられているソフトバンクだが、OPSで極端にマイナスとなっているポジションは遊撃手だけだった。開幕からほぼ今宮健太が起用されており、現時点で選手の入れ替えを行う可能性は低い。今宮がベンチスタートだった試合でスタメン起用された川瀬晃、周東佑京、牧原大成、高田知季の4人だが、高田をのぞく3人は現在一軍に不在。また、いずれも打撃面で今宮より劣っており、変更したとしても大きな改善は見込めない。今シーズンは今宮で戦うことになる。
最下位の日本ハムは選手を大幅変更
ロッテは捕手と三塁手に苦しんでいる(表2)。捕手は正捕手の田村龍弘が4月末から故障で離脱したのが響いた。しかし、すでに田村は一軍に復帰しており、大きなマイナスからは改善されることになりそうだ。三塁手は安田尚憲が一時期スタメンから外れている期間はあったものの、メインで起用されている。昨シーズンから井口資仁監督は安田を起用し続けており、このまま戦っていくことが濃厚だ。高卒4年目の伸びしろにかけることになる。
西武は外野3ポジションと指名打者がウィークポイントとなっている。とくに打撃が優先される両翼と指名打者のマイナスが大きい。左翼は栗山巧と岸潤一郎がメインで起用されているが、5月末時点はOPS.465だったことを考えると回復傾向にある。しばらくは併用状態が続くだろう。右翼は愛斗がほぼ固定されている。高卒6年目の24歳であり、今後のチームを支える存在になりうるだけに他選手との交代はなさそうだ。指名打者は中村剛也や栗山、メヒアで回してきたが、ここも変更する可能性は低い。
最下位に低迷する日本ハムは指名打者と二塁手をのぞく全ポジションがウィークポイントとなっている。チームの順位を決めるのはOPSだけではないが、打撃面の苦戦がチームの順位に大きく影響していることは否めない。だが、6月に入ってからは選手の起用も代わってきた。中田翔と五十幡亮汰の離脱もあるが、一塁手に髙濱祐仁、三塁手に野村佑希、中堅手に淺間大基や万波中正といった若い選手が定着した。彼らがメインとなってからそれほど日数は経っていないが、三塁手は.532から.594へ、中堅手は.602から.675へとOPSは上昇している。フレッシュな選手たちの起用で巻き返しを目指していく。
チームによって起用法に差が!
OPSで見ると上位争いをしているチームの中でも傾向が違った。オリックスはすでに選手を入れ替えて、手を打っているのに対し、楽天とソフトバンクは起用法の変更はない。下位チームでは日本ハムが大きく選手起用を変えてきた。はたして各チームの判断は好結果へと結びつくのだろうか。その推移を見守っていきたい。
Baseball Geeks編集部