【セ・リーグ】ポジション別OPSから各球団のウィークポイントを分析!
毎月Baseball Geeksではポジション別のOPSを分析している。今回は各チームの交流戦終了時点でのOPSを比較し、ウィークポイントとなっているポジションの状況を探ってみたい。まずは阪神が首位を走るセ・リーグから。
阪神は意外にも梅野隆太郎がリーグ平均以下
首位を走る阪神は意外にも捕手と中堅手がウィークポイントであった(表1)。捕手は梅野隆太郎、中堅手は近本光司という絶対的なレギュラーが君臨しているものの、OPSでみるとリーグ平均を下回っている。ともにチームの中心選手であり今シーズン中に選手の入れ替えは考えにくく、このままの布陣で戦っていくことになりそうだ。遊撃手と二塁手もリーグ平均は下回っているが、両ポジションに突出した選手がいるのが理由であり大きなマイナスにはなっていない。
阪神を追いかける読売は二塁手と投手が大きなマイナスとなった。とくに二塁手は開幕から固定できず、交流戦終了までに7人がスタメン起用されたほど。しかし、交流戦終了後はほぼ北村拓己で固定され、2本塁打を含む6試合連続安打を放つなど好調をキープしている。OPSの改善が見込まれそうだ。また、二軍では廣岡大志、育成から支配下登録された平間隼人、増田陸らも控えている。なかでも廣岡は二軍戦とはいえ、2試合連続本塁打を放つなど長打力は十分。北村の状況次第で再びチャンスを与えられることはありそうだ。
昨シーズンの最下位から躍進し上位争いに加わっているヤクルトは、両翼と遊撃手がややウィークポイントとなっている。現在、左翼手は青木宣親、右翼手はサンタナで固定されているが、青木は離脱期間があり、サンタナも合流が遅かった。そのためその他の選手が守っている時期が長く、ここまでの通算ほど悪くない。また、青木は6月に入ってから調子を上げており交流戦終了時点のOPSは.746、サンタナも.817と平均を上回っている。徐々に数字は改善するはずだ。遊撃手は西浦直亨と元山飛優が争っている状況。二軍では高卒2年目の武岡龍世がメインで起用されているが、かつての村上宗隆のような圧倒的な成績を残しているわけではない。今シーズンは西浦と元山の併用で戦うことになりそうだ。
劣勢の広島はウィークポイントの一塁・三塁に若手を積極起用し巻き返しへ
4位の中日は捕手と一塁手を除く7つの守備位置でリーグ平均を下回っている(表2)。特に攻撃力が求められる両翼のOPSが.600に届いていないのは苦しい。その状況を打破するべく加藤翔平をトレードでロッテから獲得した。昨シーズンは22試合の出場ながらOPS.780を記録している。また、長打のある福田永将もスタメンに名を連ねる日が増えた。福田は打率こそ低いものの、OPSは.700を超えている(交流戦終了時点)。両選手の起用が続けば自ずと数字は改善されてくるだろう。
ここまで劣勢のDeNAは一塁手を除く内野と捕手、中堅手のOPSが伸びていない。開幕直後から二塁手を固定できなかったが、4月半ばから主に牧秀悟が起用されてきた。牧はOPSで.800を超えており、開幕直後のマイナスがそのまま響いている格好だ。しかし、現在は柴田竜拓が故障から復帰したことでメインとなった。牧と比べると守備型の選手でありOPSという部分では改善が難しそうだ。一方、三塁手は宮﨑敏郎だが、極端に数字が悪いわけではなく、他球団の三塁手と比べてOPSが劣っているだけ。チーム内では4番目のOPSであり他選手への変更は考えにくい。
セ・パ交流戦では苦しい戦いを強いられた広島は、一塁手・三塁手・中堅手・左翼手が大きなマイナスとなった。一塁手は長距離砲として期待していたクロン、三塁手は堂林翔太の不振が大きい。だがすでに手は打っており、三塁は高卒3年目の林晃汰が5月末から固定され、一塁も捕手登録の高卒5年目・坂倉将吾がメインで守っている。両選手とも少ない打席数ではあるが、OPSはともに.800を超えており(交流戦終了時点)マイナスは改善されそうだ。とくに林は鈴木誠也が欠場時には4番を任された。左の大砲として大きな期待がかけられている。一方で中堅手、左翼手は固定されていない。捕手登録である中村奨成の打撃を生かすために左翼で起用されることもあるほど。西川龍馬、野間峻祥、宇草孔基、そして中村の4人で併用が続きそうだ。
劣勢の広島や中日は手段こそ違えど、ウィークポイントとなっていたポジションでテコ入れを図っている。これから先、数字がどのように変化していくのか楽しみだ。
この先のOPSの変化はいかに?
OPSで見ると阪神は意外にも捕手と中堅手がウィークポイントとなっているが、主軸ということもありメンバーはそのままで戦っている。一方で下位に低迷する広島はすでに若手を起用し、ウィークポイントのテコ入れを図りはじめた。この選択がどのような結果に結びつくのだろうか。答え合わせは11月だ。
Baseball Geeks編集部