打撃データからみるMLBポストシーズンの展望
MLBでは2017年シーズンが終わり、ポストシーズンに突入しました。ワイルドカードではヤンキースとダイアモンドバックスが勝ち上がり、日本時間6日からディビジョンシリーズ(以下地区シリーズ)が始まりまっています。
今回は、ポストシーズン出場チームの打線の打撃データを分析し、打撃データからみるポストシーズンの注目チームを探っていきたいと思います。
驚異のOPS
まずは、チーム別の打撃成績を見てみます。【表1】にアメリカン・リーグ(以下ア・リーグ)、【表2】にナショナル・リーグ(以下ナ・リーグ)の打撃成績をOPS順に示しました。
OPS順位 | チーム名 | OPS | 出塁率 | 長打率 |
---|---|---|---|---|
1位 | アストロズ | .823 | .346 | .478 |
2位 | インディアンス | .788 | .339 | .449 |
3位 | ヤンキース | .785 | .339 | .447 |
11位 | レッドソックス | .736 | .329 | .407 |
OPS順位 | チーム名 | OPS | 出塁率 | 長打率 |
---|---|---|---|---|
1位 | ナショナルズ | .782 | .332 | .449 |
3位 | カブス | .775 | .338 | .437 |
4位 | ダイアモンド バックス | .774 | .329 | .445 |
5位 | ドジャース | .771 | .334 | .437 |
ここでの注目チームはチームOPSが断トツトップのアストロズです。
シーズン途中まで青木宣親選手も在籍しており、注目していたファンの方も多いことと思いますが、出塁率、長打率、OPSすべて30球団トップで、まさにメジャー最強打線といっても過言ではありません。
チーム内のOPS1位は、OPS.953を記録したアルトゥーベ選手でした。小柄ながら足も長打もある好打者です。アストロズのキーマンとなるでしょう。
また、表1、2をみると、レッドソックスを除くポストシーズン出場チームが両リーグのOPSトップをほぼ独占しています(ワイルドカードで敗戦したツインズ、ロッキーズも上位でした)。
再三紹介しているように、OPSを高めることは得点を増やし、勝率を高めることに大きく貢献することが証明された結果といえるかもしれません。
0.8を超えるOPSを誇るアストロズ打線はポストシーズンでも非常に脅威となるでしょう。
参考:ポジション別OPSからみる構成のヒント
22連勝の勢いは取り戻せるか
次にトラッキングデータからチームの打撃を分析します。
まずは、ア・リーグ出場チームの平均打球速度をみてみます【図1】
注目は、インディアンスがOPS一位のアストロズに肉薄していることです。インディアンスはOPSでもリーグ2位につけており、注目の打線です。
また、シーズン終盤に22連勝という記録を打ち立てたインディアンスですが、連勝中の平均打球速度はアストロズさえも上回っています【図2】。
遊撃手で攻守の中心であるリンドーア選手は、連勝中のフライ打球速度がチーム1位で、連勝に大きく貢献しました。
インディアンスは昨シーズンの地区優勝チームです。連勝中の勢いを取り戻せば、一気に世界一の第一候補となるでしょう。
驚異の飛距離!爆発力は随一
続いてナ・リーグ出場チームの平均打球速度をみてみます【図3】
ここでの注目チームは、最も速い打球速度を記録しているドジャースです。さらには打球飛距離もみてみます【図4】。
ドジャースの飛距離が圧倒的に大きいことがわかります。注目の選手はベリンジャー選手です。ルーキーながら、フライ打球の打球速度がチーム1位で、平均飛距離は60mを超えました。
ドジャースは今シーズン.642と30球団で最も高い勝率を記録したものの、大型連敗も経験し、強さと同時に不安定さものぞかせたチームでした。
打線をみても、打球速度や飛距離が大きく、能力が非常に高い打線でありながら、OPSはリーグ5位と出場チームでは下位の成績でした。
逆にみるとポテンシャルは高く、「もっと勝てたチーム」とも読み取れます。高いポテンシャルを秘めたドジャース打線が爆発するか注目です。
強力打線VS好投手たち
ここまで打撃データから注目のチームを紹介してきました。そしてポストシーズンで対戦するのはリーグ屈指の投手たちです。
カーショウ投手、シャーザー投手、セール投手といったリーグを代表する投手たちに対して強力打線はどんなアプローチをするのか。
またダルビッシュ投手や田中投手をはじめとする日本人投手たちがどのように強力打線に挑むのか。
一野球ファンとして、世界最高の戦いを楽しみたいと思います!【図5】
Baseball Geeks編集部