オリックスの新星サブマリン・中川颯の速球とは?新人投手の球質を分析!
新型コロナウイルスの影響のために史上初の無観客開催となったプロ野球のキャンプも、なんとか無事に終了した。昨日から始まったオープン戦にて、ここから戦力の最終調整を図っていく。球団によっては、ルーキーをチームの戦力として計算していることだろう。
今回は、昨年のドラフトで指名された3投手のアマチュア時代の速球の球質を、トラッキングデータより紹介していきたい。
オリックス・中川颯の速球を紹介
まずは、オリックスから4位指名された中川颯投手(立教大学出身)の速球の球質をみていく(表1)。サブマリンということもあり、球速にそこまで特徴があるわけではない。それでも、最速130キロを超える速球は打者にとっては相当厄介なボールであるに違いない。複数の球種を織り交ぜて打たせて取る投球スタイルであるといえるだろう。
続いて、中川の速球のボール変化量をみていく(図1)。中川の速球は、サブマリン特有の球質だ。球質としてはホップしているわけではないが、投球されたボールは下から浮き上がってくる見慣れない軌道で打者のもとに到達するため、攻略することは容易でないに違いない。
参考:メジャーリーガーの平均的なボールって?
現在サブマリンは、楽天・牧田和久、ソフトバンク・高橋礼、西武・與座海人を含めた4投手のみ。オリックスの前身である阪急ブレーブスの黄金期を支えた史上最強のサブマリン・山田久志氏のように、球界を代表する投手になることを期待したい。
参考:【ドラフト特集】年齢構成からみる各球団の補強ポイント~オリックス編~
DeNA・松本隆之介、読売・木下幹也の速球を紹介
松本は最速152キロを記録する大型左腕
ここからは、DeNAから3位指名された松本隆之介投手、読売から育成4位指名された木下幹也投手(ともに横浜高校出身)の速球の球質をみていく(表2)。
横浜高校時代は2枚看板としてチームを支えた両投手。平均球速に関しては、松本に軍配が上がった。最速150キロを超える大型左腕の速球は、プロでも十分に通用するボールといっていいだろう。
木下の速球は真上に「ノビ上がる」
続いて、松本と木下の速球のボール変化量をみていく(図2)。木下は高校時代に、すでにプロ投手平均程度のホップ成分を記録していた。また、シュート成分が非常に小さく、真上に「ノビ上がる」ような球質である。ホップ成分が大きいボールは空振りを奪いやすいことがわかっている。今後平均球速が高まってくると、空振りを量産できる投手になれるかもしれない。
参考:ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当!?
DeNAには、今永昇太・濱口遥大・東克樹といった大学卒の優れた左腕が多く在籍している。長年チームを支えた三浦大輔新監督のもと、高卒ながらに左腕王国の一角となれるかに注目したい。
参考:【ドラフト特集】年齢構成からみる各球団の補強ポイント~DeNA編~
読売には、高卒2年目で9勝をマークし、次世代のエースとして期待される戸郷翔征が在籍している。まずは支配下登録を目指し、早期に先発ローテーションの一角を担う存在となることを期待したい。
参考:【ドラフト特集】年齢構成からみる各球団の補強ポイント~読売編~
彼らの更なる飛躍に期待
今回は、ドラフト指名選手であるオリックス・中川、DeNA・松本、読売・木下の速球の球質を紹介してきた。今回紹介したデータをもとに、観戦を楽しんでいただければ幸いである。シーズン開幕は3月26日が予定されている。開幕が待ち遠しい限りだ。
最後になるが、計測に協力してくれた投手たちに感謝の意を表すとともに、彼らの大活躍を祈念している。
中川颯投手のプロフィール
1998年10月10日生。桐光学園高校―立教大学―オリックス・バファローズ
松本隆之介投手のプロフィール
2002年7月31日生。横浜高校―横浜DeNAベイスターズ。
木下幹也投手のプロフィール
2002年5月1日生。横浜高校―読売ジャイアンツ(育成)。
Baseball Geeks編集部