筒香嘉智の2020年データを分析!メジャー屈指の打球速度が最大の長所
新型コロナウイルスの影響により、60試合という異例の短縮シーズンとなった2020年のメジャーリーグ(以下、メジャー)。元DeNAの主砲・筒香嘉智はタンパベイ・レイズの一員としてワールドシリーズに出場するなど、メジャー移籍1年目から貴重な経験を積んだシーズンとなった。
DeNA時代の2016年には、本塁打と打点の2冠に輝くなどチームの主砲として輝かしい成績を残した。そんな日本を代表する好打者であるが、昨シーズンの結果は決して満足のいくものではなかっただろう。今回は、筒香のメジャー1年目をトラッキングデータから振り返り、今シーズンさらなる活躍をするためのポイントを探る。
高い四死球割合と低いゴロ割合を記録
まずはじめに筒香の被リスク管理表についてみると、ゴロの割合がメジャー平均と比べて非常に低いことがわかる(図1)。ゴロ打球はアウトになる確率が高いため、この割合が低いことは打者として評価すべきポイントである。また、四死球の割合がメジャー平均と比較して高いことも、筒香の大きな長所だ。2017年にはリーグ最多の93四球を記録しており、強打者のイメージばかりが強い筒香だが、実は選球眼には定評がある。
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一方、完全アウトの割合はメジャー平均を大きく上回っている。今後は、三振・内野フライを減らし長打になりやすい外野フライ・ライナーの割合を増やすことが必要になるだろう。
強打者に引けを取らない打球速度
続いて、打球特性を球種別にみていくと、打球速度・角度ともにメジャー平均を大きく超えている(図2・3)。つまり、筒香の長打力はメジャーの名立たる打者たちに引けを取らないといえる。特に、4シームの打球速度は群を抜いており、打球角度についてもメジャー平均を超えている。この4シームに対する強さこそ最大の持ち味といっていいだろう。
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一方、スライダーに対する打球速度は最も低い。スライダーは、4シームに次いで投球が多い球種であるため、攻略は必須である。メジャーには様々なタイプのスライダーを投球する選手もいるが、打者を追い込んでからの決め球として投球される場面が多い。そのため、スライダー対策が今後の三振数にも大きく影響するかもしれない。
最後に、コース別の打球速度をみていく(図4・5)。筒香は、ほぼ全てのコースでメジャー平均を上回る打球速度を記録している。強いて言うなら、外角の打球速度はやや低い傾向にある。左投手にとっては、外角へ逃げるスライダーは空振りを奪ううえで重要な武器になることが多い。そのため、先述したスライダーのように外角に投球されるボールの対策が重要となるだろう。
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三振を恐れないスイングが飛躍の鍵
今回は、メジャー1年目の筒香のトラッキングデータを分析してきた。日本屈指のスラッガーは、メジャーの強打者にも引けを取らない打球を放っていた。自慢の打球速度・打球角度を活かすためにも、三振の割合を減らせるか、苦手とする球種を少なくできるかどうかが今後のポイントとなりそうだ。2年目のシーズンに期待したい。
Baseball Geeks編集部