【ドラフト特集】年齢構成からみる各球団の補強ポイント~ヤクルト編~
今シーズン、高津新監督の下で巻き返しを目標に臨んだヤクルトであったが、昨シーズンと同様にリーグ最下位で終盤戦を迎えている。この先、2015年以来のリーグ優勝を狙うためにはどのような戦略を立てていけばよいのだろうか。
今回は、各選手の成績や年齢構成からチーム編成やドラフトで獲得するべき選手について探っていきたい。
投手力・打撃力ともに改善の余地あり
ヤクルトはリーグで唯一5点を上回る平均失点を記録している(表1)。多くの先発投手が安定した成績を残すことができておらず、投手陣の再建が最も大きな課題として挙げられる。打撃においても、平均得点がリーグ5位とまだまだ改善の余地があるだろう。
エース小川泰弘を除く先発投手陣の安定化が必須
続いて、投手陣の投球回の消化数についてみていく(表2)。
投球回を最も消化しているのは小川泰弘であった。8月のDeNA戦ではノーヒットノーランを達成するなどここまで9勝を挙げており、充実したシーズンを過ごすことができている。ヤクルト一筋のベテラン投手はチームの中心として頼れる存在である。
また、梅野雄吾・寺島成輝・清水昇といった若手投手たちは中継ぎとして1軍で経験を積むことができた。さらに昨年ドラフト1位で入団した奥川恭伸は1軍での登板こそないものの、数年後には主力として2桁勝利を期待できる選手である。彼らのような若手有望株の成長次第で今後のチームの明暗が大きく分かれるだろう。
一方で、多くの先発投手陣が安定した成績を残すことができず、小川と比較した際の投球回の少なさが目立つ。先述の若手投手陣のうち、一人でも多くの選手がローテーションを守れるよう育成に注力していきたい。さらに育成だけでなく、社会人投手のような即戦力を獲得することもリーグ最下位を抜け出すための打開策となるに違いない。
村上宗隆・青木宣親ら上位打線が奮闘!
また、ここまでの試合で各打者がどの程度打席を消化しているのかをみていく(表3)。
今シーズンのヤクルトの攻撃の軸は、なんといっても4番村上宗隆とキャプテン青木宣親である。また、一時は2軍落ちを経験した山田哲人も後半戦では調子を取り戻してきた。彼らが名を連ねる上位打線は他球団と比べても引けを取らない打撃力である。
しかし、打席を多く消化している打者のうち大半は20代後半以降の選手たちばかりである。彼らのうち、現在結果が出ている選手はともかく、得点力が低い選手を起用し続けてもこれ以上の打力向上は望めないだろう。今後はポジションを問わず、若手の出場機会を積極的に増やしていき、打線の高齢化に歯止めをかける必要がある。
捕手に関しては、中村悠平・嶋基宏のベテラン勢はケガで離脱を強いられている。代わりに起用されている西田明央も目立った結果を残すことができていない。西田も年齢的にピークを迎えており、これ以上の成績に期待することは難しいだろう。若手の捕手への育成や「打てる捕手」の獲得にも踏み切りたい。
参考:【セ・リーグ】Bクラスの前半戦をポジション別OPSから分析
世代交代を視野に入れた育成・補強を目指したい
最後に、登録されているポジション別の年齢構成から今後の戦略について考える(表4)。
最大の課題として挙げた投手陣は、若手からベテランまで広い年代の選手が在籍している。20代前半の若手投手たちをローテーションの中心に育て上げることができるかどうかが、チームが長期的に好成績を残すためのポイントとなるだろう。とはいえ、平均失点がワーストである現状を考慮すると、育成に長い時間をかけている余裕はない。即戦力となる投手の獲得も視野に入れるべきだろう。
野手陣では、外野手の若手がかなり少ないことがわかる。青木・坂口智隆といったベテランが結果を出しているだけに、外野手の得点力は大きな不安要素にはなっていない。また、若手選手では、濱田太貴や中山翔太なども頭角を現している。しかしながら、長い目でチーム編成を考えると、ベテラン選手たちが現役を退いたときに世代交代ができる外野手を獲得しておく必要があるだろう。
- ドラフトで獲得すべき選手像
①即戦力としてローテーションを任せられる社会人投手
②2~3年で世代交代を任せられる大卒・社会人外野手
③平均程度の得点力を備えた「打てる捕手」
Baseball Geeks編集部