【プロ野球】得点圏でも失点を許さない!ピンチに強い投手ランキング
ヒット一本で勝敗が決するような緊迫したシチュエーションは、野球観戦における醍醐味のひとつである。守備チームを応援するファンにとっては、ピンチの場面(得点圏にランナーを背負った状況)にも動じず、力を発揮してくれる投手は頼もしい存在だろう。
参考:ランナーがいた方が球速は上がる? 状況別に投球を分析
そこで今回は、得点圏にランナーを背負った状況での失点頻度(失点回数/対戦打席数)と奪三振率(奪三振数/対戦打席数)から、ピンチの場面に強い投手についてみていきたい。
千賀滉大、藤川球児のずば抜けた奪三振率!
まず初めに、先発投手と中継ぎ・抑え投手に分けて、昨シーズンのピンチの場面での失点頻度の低い投手たちのランキングをみていく(表1・2)。
順位 | 投手 (チーム) | 失点頻度 (%) | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | 千賀 滉大 (ソフトバンク) | 15.1 | 36.7 |
2 | 床田 寛樹 (広島) | 15.3 | 21.8 |
3 | 大野 雄大 (中日) | 15.7 | 25.4 |
4 | 山本 由伸 (オリックス) | 15.8 | 20.2 |
5 | 有原 航平 (日本ハム) | 16.4 | 24.6 |
NPB平均 | 24.4 | 18.5 |
ピンチの場面で100打席以上の対戦があった投手を対象
先発投手のランキング上位には、最優秀防御率の中日・大野雄大やオリックス・山本由伸、最多勝の日本ハム・有原航平など、タイトルホルダーが名を連ねている。ピンチの場面に失点を許さないことは、シーズンを通して活躍するための重要な要素であるといえる。
順位 | 投手 (チーム) | 失点頻度 (%) | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | 藤川 球児 (阪神) | 8.2 | 38.8 |
2 | 岩崎 優 (阪神) | 9.3 | 25.6 |
3 | ロドリゲス (元中日) | 10.0 | 26.7 |
4 | 高梨 雄平 (現読売) | 10.2 | 18.4 |
5 | 島本 浩也 (阪神) | 10.8 | 27.7 |
NPB平均 | 24.4 | 18.5 |
ピンチの場面で40打席以上の対戦があった投手を対象
各ランキングで1位に輝いたソフトバンク・千賀滉大と阪神・藤川球児は、ピンチの場面での失点頻度が低いだけでなく、奪三振率でも平均を大きく上回っている。彼らが武器としている落差の大きなフォーク系のボールは奪空振り率が高く、失点のリスクが低いという特徴がある。このようなボールを安定して投球できることがピンチの場面にも強い秘訣かもしれない。
参考:速球は最も飛ぶボール? 球種別で見られる打球特性とは
ソフトバンク先発陣の安定感
続いて、8月16日時点でのプロ野球のデータから、今シーズンのピンチの場面での失点頻度の低い投手たちのランキングをみていく(表3・4)。
順位 | 投手 (チーム) | 失点頻度 (%) | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | 大貫 晋一 (DeNA) | 10.3 | 27.6 |
2 | 東浜 巨 (ソフトバンク) | 11.5 | 15.4 |
3 | 石川 柊太 (ソフトバンク) | 13.8 | 17.2 |
4 | 大野 雄大 (中日) | 14.6 | 26.8 |
4 | 種市 篤暉 (ロッテ) | 14.6 | 20.8 |
NPB平均 | 24.7 | 18.4 |
今シーズン150打席以上の対戦、ピンチの場面で20打席以上の対戦があった投手を対象
先発投手のランキングには、パ・リーグ首位のソフトバンクから東浜巨、石川柊太がランクインしている。ここまでリーグ最少をキープしているソフトバンクの失点数は、彼らのようにピンチの場面でも勝負強さを発揮できる先発投手による貢献が大きいだろう。
参考:データで順位を大胆予想!ピタゴラス勝率でみる今季プロ野球の展望は!
順位 | 投手 (チーム) | 失点頻度 (%) | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | ヒギンス (オリックス) | 4.8 | 19.0 |
2 | ハーマン
(ロッテ) | 7.7 | 23.1 |
3 | 塹江 敦哉
(広島) | 8.3 | 33.3 |
4 | エスコバー
(DeNA) | 10.7 | 32.1 |
5 | 平良 海馬
(西武) | 11.5 | 30.8 |
NPB平均 | 24.7 | 18.4 |
今シーズン70打席以上の対戦、ピンチの場面で10打席以上の対戦があった投手を対象
また、セ・リーグ首位快走を支える読売・菅野智之の失点頻度は19.4%とランキング外であった。しかし今シーズン、菅野がピンチを迎えたのは221打席の対戦のうち31打席のみである。割合にして14%と、ほとんどピンチを招いていないことがわかる。ここまで唯一2度の完封勝利を挙げており、今後もエースとして安定した投球をみせてくれるだろう。
ピンチでの攻防はチームの勝敗を左右する
ここまで、得点圏にランナーを背負った状況にも好成績を残す投手たちをみてきた。ピンチの場面でいかに失点を防ぐかがチームの勝敗を左右することは言うまでもない。今回紹介した投手たちが、今後もチームをピンチから救うことができるのか注目していきたい。
Baseball Geeks編集部